自分のやりたいことはなに?
「やりたいことが見つからない」
そんな悩みを抱える人が多いのは特に20代後半から30代前半の時期です。
社会人としてある程度の経験を積み、基本的なスキルも身についた頃。しかしその先の道筋が見えづらく不安を感じる方が増えてきます。
社会人2-3年目新しい環境で必死に仕事を覚え、目の前の課題をこなすことでスキルアップや成長が感じられる時期でもあります。
しかし、5年目前後になると状況は変わってきます。新しい学びの機会は減少し、成長のスピードも緩やかになっていきます。周りには異動でのキャリアチェンジや転職、結婚と言った大きな選択をする人も出てきますよね。
「このまま同じ仕事を続けていくべきなのか」、「本当にやりたいことは何なのか」
そんな問いに向き合う時期が訪れるのです。
この記事では四角大輔さんの『人生やらなくていいリスト』から、やりたいことを見つけるためのヒントをご紹介していきます。
頑張らなくていいことに「命=時間」を費やしている君へ

著者の四角大輔さんもキャリアを大きく変えた方の一人。
といっても、彼の場合は悩んでキャリアを変えたわけではありません。
四角さんは大学卒業後、新卒で大手レコード会社に入社。北海道で営業を経験した後、本社に引き抜かれプロデューサーの道へ。プロデューサーとして絢香、Superfly、平井堅、CHEMISTRYなど誰もが知る有名アーティストと仕事をしミリオンヒットを連発する実績を収めています。
39歳の時に、レコード会社を退職、ニュージーランドに移住します。周囲の人は、プロデューサーとして実績を残してきた今なぜ辞めるのか、もったいないと思ったでしょう。大きすぎるキャリアチェンジです。ここで重要なのはご本人にはもったいないという感覚はなかったということ。ニュージーランドへの移住は大学生の頃からの夢だったから。一般常識で人々が欲しいと思う実績や収入よりも、自分にとって大切な夢を選びます。そして今では場所に縛られない働き方を実現します。好きを仕事にするノマドライフを実践する先駆者のような存在です。
なぜ四角さんが悩まずにこのような決断をできたのか。
『人生やらなくていいリスト』ではこのニュージーランドに行くまでの過程で実践してきた「やらなくていいこと」「やってもいいこと」を本書の中で40のリストにして教えてくれています。
その中からやりたいことを見つける上で、特に重要な3つをピックアップしてお伝えします。
1.「TO DOリスト」はなくていい
2.逃げ道はつくっていい
3.具体的な夢がなくてもいい
1.「TO DOリスト」はなくていい ーTO DOリストよりやりたいことリストー
みなさん、やるべきこと、日々のTO DOリストはどんなものがあるでしょうか?
クライアントからの質問は自分では答えられないから関連部署に連絡しよう
友達が久しぶりに会いたいと言っていたから飲み会を企画しよう
親が引っ越したいと言っていたから家を探すのを手伝ってあげよう
仕事でもプライベートでも、あ、これはやっておいた方がいいかもしれない
そう思って自分のタスクにしているものあると思います。
そのやるべきことはやりたいことでしょうか?
大学で教鞭をとる四角さんは学生から、やりたいことが分からないと相談を受けるそうです。
その子たちにやらないといけないことのTO DOリストを書いてきてと指示すると大量のTO DOが出てくる。そこで問いかけるそうです。
「このなかで、やらないと人生が終わることっていくつある?」
そう聞かれると実際にやらないといけないことはほとんどなありません。
私たちはやらなくちゃいけないと思い込んでいることに振り回されているのです。
目の前のことで精一杯になっているとやるべきこととやりたいことの区別がつかなくなることはよくあります。目的と手段を取り違えて手段ばっかり極めてしまうこともそうでしょう。
絶対のTO DOはほとんどないのです。
それよりもやりたいことリストを書く方が大事です。
四角さんのようにニュージーランドに移り住み、フライフィッシングをするという大きなやりたいことはもちろん、小さなやりたいことも書いておかないと意外と忘れてしまうものです。
「大学の先輩がボルダリングに最近ハマっていると話していたから自分もやってみたい」
「友人との話題に出たお笑いタレントのバイオハザードのゲーム実況がめちゃくちゃ面白いらしい」そんなことも忙しい生活の中では一瞬で忘れてしまいます。
TO DOリストではなく、やりたいことのリストを作りましょう
2.逃げ道はつくっていい ーあなたを救うポジティブ・エスケープー
四角さんは、20代の頃に仕事の行き詰まりを経験しました。その経験から見出した解決策が「ポジティブ・エスケープ(前向きな逃げ道)」という考え方です。
社会人として働く中で、自分の意向と異なる仕事や、やりたくない業務に直面することは誰でも一度は経験したことがあると思います。例えば営業職では、自分が心からお勧めできない商品を売らなければならない状況に置かれることもありますよね。
四角さんの場合、このような状況で無理に適応しようとすると、心身の不調を引き起こしてしまいます。相手にも伝わってしまい成果も出ない。であれば無理に嘘をついて売り込みをしない。自分が心から良いと思ったアーティストだけを売り込むということをしていたそうです。
会社の命令には背いている訳ですから上司や先輩からのあたりは強くなるでしょう。間違っても働きやすいとは言えない環境の中で自分の信念を変えずに仕事を続けられた1つはポジティブ・エスケープです。
「いざとなったら明日辞めればいい」と思うことで気持ちを保つことができたといいます。
具体的な逃げ道として、四角さんは英語教員免許の取得やニュージーランド移住の可能性を持っていました。また、フライフィッシングという趣味を通じて、仕事以外のコミュニティを持つことで精神的な安定を得ていました。
重要なのは、人生の基盤を仕事だけに置かないことです。仕事、家族、趣味のコミュニティなど、複数の居場所を持つことで、一つの場所で困難に直面しても心の安定を保つことができます。
このように、前向きな逃げ道を用意しておくことは、現在の仕事や生活により良く向き合うための重要な戦略となりうるのです。
仕事が全てだと思っている時に仕事で上手くいかないことがあると落ち込む
3.具体的な夢がなくてもいい ー夢≠具体的な職業ー
将来の夢を子供に聞くと、サッカー選手、YouTuberと言った具体的な職業が返ってくることが多いでしょう。大人でもそうかもしれません。残念ながらその夢が叶わなかった時にはどうしたらいいでしょうか。人生の目標を失ったように感じてしまう人もいると思います。
夢はこのような具体的な職業でなくても良いのです。
四角さんは学生時代、NHKに就職しドキュメンタリー番組を作ることが夢でした。
NHKの倍率は高く、良い大学を出て万全の対策をしても簡単に入社できる会社ではありません。実際四角さんも就職活動で落ちてしまい悔しい思いをしながら夢を諦めることになります。
そして志望度は上位ではなかった大手レコード会社に就職します。ただ実際働いていると、これは自分の成し遂げたかったことだったのだと気が付くタイミングがあったといいます。
それは人々に感動を届け、世の中をより良い方向に動かすこと。この本質的な目標は、必ずしもNHKのドキュメンタリー制作でなくても達成できるものでした。映像でも音楽でも手段は様々あり得たのです。
このように、夢は具体的な職業ではなく、実現したい価値として捉え直すことで新たな可能性が開けてきます。
大切なのは自分がなにを成し遂げたいのか、どんな価値を社会に提供したいのかを考えること。そしてそれを実現する一つの手段として仕事を位置付けることです。このように考えることでキャリアの選択肢は大きく広がっていきます。
頑張らなくていいことに自分の時間を使っていては、いくら時間があっても足りません。
私自身も新卒では営業職に就いていましたが、根っからの内向型。どんなに努力して真似してみても、外交的なコミュニケーションお化けにはなれません。しかし、この本を読んで気付かされました。それで全く問題ないのだと。その代わりに自分ができること、毎週決まった曜日に足繁く通うことや、クライアントの些細な変化に気づくことなどに注力することで結果はついてくるのです。
21世紀の今、求められる人材像は大きく変化しています。バランスよく何でもできる人より、どこか突出した強みを持つ人が活躍できる時代となっています。働き方や価値観も多様化している今だからこそ、この本から学ぶことは多いでしょう。
人生100歳年時代の今、やりたいことを見つける力は、人生を豊かにする上で必要不可欠なスキルです。60歳で仕事を引退してから「さて、何をしよう」と考え始めても、残りの40年間を充実させる具体的なプランは簡単には見つかりません。
私もかつては自分のやりたいことが見えず、「やるべきだ」と思い込んでいることに時間を費やしていた時期がありました。自分で決められるはずの「やるべきこと」に縛られ、上手くできないと落ち込んでいました。そんな時に出会ったこの本に助けられました。
「やらなくていいこと」を手放す勇気を持つことで、本当に大切なことに集中できるようになるでしょう。